複雑なレポートの作成時にARCHICADが必要とする情報のほとんどは、現在のライブラリ内の特性データベースから得られます。ARCHICADに含まれている出荷時のデフォルトデータベースは、使用、拡張、修正、および更新することができます。また、各自の必要に合わせて複数のデータベースを設定することもできます。データベースには、キーと呼ばれる論理グループに編成された構成要素、記述項目、単位を含めることができます。データベースは、[計算]メニューから編集することができます。これには、新しいデータベース、キー、構成要素、および記述項目の作成も含まれます。
「計算コマンド」も参照してください。
データベースは、ARCHICADライブラリの[リストテンプレート]/[特性データ]フォルダ内に配置されたファイルのセットです。
内蔵計算データベースには、[データベースを編集]コマンドからアクセスできます。
注記: データベースには、要素が参照する単位も含まれています (下記を参照)。
「計算データベースの編集」も参照してください。
データベースのデータ項目は、キー別に分類された階層システムに配列されています。キーには、1グループの構成要素と記述項目が含まれています。構成要素と記述項目は、通常は、各国の数量拾い規格に従って論理的にグループ分けされています。特性は、構造の種類別(壁、柱、屋根など)、材質別(コンクリート、木材、鋼など)、または作業のタイプ別(基礎、電気、家具など) にグループ分けすることができます。相互参照はできませんので、各キー用に複写しない限り、同じ特性項目を複数のキーに渡ってグループ分けすることはできません。
全てのキーには名前とコードがあります。これらは、両方とも英数字の定義です。データベースのキーは、コード別、さらにアルファベット順に配列されています。キーの中にも階層を作ることができます。この階層もコードで制御されます。コードとは、説明的な名前にすることのできる識別子です。
例:
[コンクリート]という名前のキーを作成し、 そのコードが[003]であるとします。
[プレキャストコンクリート]という名前の別のキーを作成し、 こちらのコードは[003.001]になるとします。この形式により、[プレキャストコンクリート]は[コンクリート]キーのサブキーになります。
さらに[プレキャスト壁]という名前の追加キーを作成し、 コードが[003.001.001]であるとします。この形式により、[プレキャスト壁]は[プレキャストコンクリート]サブキーのサブキーになります。
このようにして、最高4つまでのレベルの階層キーおよびサブキーを作成することができます。
構成要素は、構造の原料(鋼、コンクリートなど)と、構造タイプの要素に準じて測定できる項目(価格、工数など)のどちらかとすることができます。各構成要素には、名前、コード、数量定義、単位、および関連構造要素を基準とした比率への参照があります。
•コード: 任意の英数字文字列(’1143’、’Wall-012’、’JKG-ft’、’345fdsr’など)
•名前: 構成要素を識別するためのテキスト文字列(’gravel’など)
•数量: 数値(’412.5’など)
•単位: 同一データベース内の[単位]で定義されている単位(’kg’、’m2’、’Euro’、’$’など) –ポップアップメニューから選択できます。
•基準数量: 定義済みの値のセット。構成要素は、選択した基準数量に比例して計算されます。
–項目: 構成要素は、組み立て要素の部分ごとに計算されます。
–その他の基準単位については、次の表と説明を参照してください。
参照要素 |
長さ |
面積A |
面積B |
面積C |
体積 |
壁 |
(基準+反対)/2 |
基準 |
その他 |
基準+反対 |
合計体積 |
柱 |
最大高さ |
仕上げ |
仕上げ |
仕上げ |
躯体+仕上げ |
梁 |
(左+右)/2 |
左(L) |
右 |
合計 |
合計体積 |
スラブ |
外周 |
上面 |
下面 |
上面+下面 |
合計体積 |
屋根 |
外周 |
上面 |
下面 |
上面+下面 |
合計体積 |
メッシュ |
外周 |
上面 |
下面 |
合計 |
合計体積 |
ゾーン |
外周 |
面積 |
面積 |
面積 |
合計体積 |
オブジェクト |
x軸方向長さ(=A) |
0 |
0 |
合計 |
合計体積 |
開口 |
開口幅 |
幅*高さ |
幅*高さ |
ライブラリ部品の要素の表面積 |
ライブラリ部品要素の合計体積 |
•略字: 基準: 壁の基準線側。反対: 壁の基準側と逆の側面。左: 梁の向きによって定義される梁の左側面。右: 梁の向きによって定義される梁の右側面。
•意味:
柱の長さに比例する構成要素: 0に代わって柱の高さが取得される
梁の長さに比例する構成要素: 0に代わって(左+右)/2が取得される
オブジェクトの長さと比例する構成要素: 0に代わってパラメータAが取得される
柱の表面積に比例する構成要素:躯体の周りの表面積は省略され、仕上げの周りの表面積だけが取得される。仕上げがない場合、躯体面積が取得される。
注記:
–梁が垂直以外の角度で壁に接続されている場合には、左右は違う場合があります。
–いくつかの値は、意図的に該当する要素リストの値とは異なっています。これは、対応付けられた構成要素は通常別の表面積を基に計算されるからです。例えば、壁の塗装面積を計算したいとします。この場合、必要なのは壁のエッジ表面ではなく、基準面および反対側の合計面積になります。
–構成要素は、データベース内(グローバル)または特性オブジェクト内(ローカル)に存在させることができます。ライブラリ部品タイプの組み立て要素(オブジェクト、ランプ、窓、ドア) は、ローカルで定義したオブジェクト固有の特性も持つこともできます。ただし、このような特性は定義されたライブラリ部品でのみ使用でき、ほかの要素に対応付けることはできません。特性オブジェクトは、[ファイル]→[ライブラリとオブジェクト]→[オブジェクトを開く]を使用して特性スクリプトウィンドウで編集するか、または [特性を新規作成]および[特性を編集]などの適切な計算コマンドを使用して作成および編集できます。
詳細は、「特性オブジェクト」を参照してください。
記述項目は、構造のタイプ(例えば、仕上げ、セキュリティ、出荷、組み立て情報、または取り扱い情報)に関連するテキスト要素です。記述項目はレポートに表示されるだけです。計算では使用されず、構成要素や要素のパラメータにはリンクされません。各記述項目には、名前(ショートテキスト)、コード、および詳しい説明(詳細テキスト)が設定されています。
構成要素と同じように、記述項目はデータベース内(グローバル)または特性オブジェクト内(ローカル)に存在させることができます。
全てのデータベースには、計算に使用される単位に関する特別な項目グループがあります。単位セットは、データベースの基本キーと同じ階層レベルにあります。データベースごとにいくつでも単位のタイプを定義することができます。