BIMxモバイル用にファイルサイズを最適化する方法

by GRAPHISOFT · 最終更新日: 2015年12月9日

モバイルデバイスでは、サイズの大きい、複雑なBIMxモデルは開くのが困難な場合があります。デスクトップPCやノートPCでは問題なく動作するファイルでも、モバイルデバイスのプラットフォームは必ずしも同じファイルを処理するのに十分なハードウェアリソースを備えていないためです。このような場合、BIMxモバイルアプリケーション(iOSおよびAndroid用)はファイルを開いたときに終了するか、モデルを開けたとしてもナビゲーションしようとすると終了します。iOSデバイスとAndroidデバイスのどちらでも開けるようにBIMxモデルを調整するには、いくつかの秘訣があります。この記事では、BIMx形式で保存する前のARCHICADモデルの最適化について説明します。


モバイルデバイスの要件

最初に、デバイスがBIMxファイルを開くのに十分なハードウェアを備えていることを確認します。 モデルを開く際にボトルネックになるのは、使用可能なRAM容量です。これは、デバイス上で使用可能なストレージ領域ではなく、アプリケーションが実行時に使用するメモリです。デバイスのGPUは、3Dモデル表示で必要になります。

  • モバイルデバイスでのファイルサイズ制限
3Dモデルサイズ * ~ 35 MB ~ 70 MB ~ 150 MB
ジオメトリサイズ ** < 100 MB < 250 MB < 500 MB
実行可能なデバイス iPad 2
iPad Mini 1
512 MB RAMを搭載したAndroid
iPad 3-4、iPad Air
iPad Mini 2-3
1 GB RAMを搭載したAndroid
iPad Air 2
2~3 GB RAMを搭載したAndroid

* BIMx Hyper-modelファイルで開くことのできる最大3DモデルBIMxモデルのメニューで3D設定を選択すると、3Dモデルサイズを確認できます。Hyper-model全体に対するファイルサイズの制限はありませんが、BIMxモデル転送サイトへのアップロードは、BIMx Hyper-modelの各コンポーネントにつき150 MBに制限されます。** ジオメトリサイズは、BIMxデスクトップビューワーの情報パネルで確認できます。

{i}モバイルデバイスで十分に操作可能なBIMxモデルのサイズは、システムメモリ、グラフィックカードのメモリ、およびアクティブな3Dウィンドウで使用されている設定(グローバルイルミネーション、アウトライン、マップなど)を含むさまざまな要素に依存します。そのため、上の表に示す情報は、あくまでもガイドラインにすぎません。


モバイルデバイスで使用するためのBIMxファイルの最適化

BIMx用にARCHICADモデルを最適化

このドキュメントでは、ARCHICADモデルをBIMx形式で保存する場合、特に、それをモバイルデバイスで表示する場合のARCHICADモデルの最適化に関する推奨事項を示します。

ARCHICADモデルの最適化が必要な理由

ARCHICADでモデルを最適化すると、モデルをBIMxにエクスポートしない場合でも、3Dパフォーマンスやナビゲーションのエクスペリエンスが向上します。BIMxでは、特に、BIMxファイルの表示に使用するデバイスの制限により、次の問題が生じる場合があります。

  • 3Dでのナビゲーション速度の低下およびフレームレートの低下
  • メモリ不足によるアプリケーションのフリーズ
  • 非常に大きいファイルサイズによるアップロード/ダウンロード速度の低下

ARCHICADでモデルを最適化することで、次の結果が得られます。

  • ナビゲーション速度の向上
  • メモリが制限されたデバイスでもプロジェクトを実行可能
  • クライアントのナビゲーションエクスペリエンスの向上

モバイルプラットフォームの制限を考慮

ARCHICADモデルをモバイルデバイスのBIMxで表示する前に、使用しているモバイルデバイスのメモリとパフォーマンスの制限を考慮する必要があります。
考慮すべき主な制限要素は以下のとおりです。

  • CPU
  • メモリ
  • ビデオカード

モバイルデバイスでの表示を目的としたBIMxモデルは、デスクトップ版よりもさらに最適化する必要があります。
モデルがデバイスの制限を超えている場合、次の問題が生じる可能性があります。

  • デスクトップコンピュータでスムーズに実行できるプロジェクトでも、モバイルプラットフォームでは速度が低下する場合があります。
  • サイズの大きいモデルは、メモリ不足で読み込めない場合があります。
  • モデルに対する特定の表示オプションはBIMxで自動的に無効になります。
  • BIMxモデル転送サイトで共有できるBIMxモデルは最大50MBです。

最適化の重要な要素

ARCHICADモデルの2つの側面、サイズ品質について考慮し、それらを最適化する処理を行う必要があります。

  • ARCHICADモデルのサイズを削減します。 このためには、3Dポリゴンの数およびテクスチャの数とサイズを削減します。「モデルサイズの最適化」を参照してください。
  • モデル品質を改善します。 このためには、モデリングエラーを修正し、ナビゲーションを向上させるためのその他の対策を講じます。「モデル品質の最適化」を参照してください。

 

モデルサイズの最適化

Poly Count

BIMxモデル内の3Dポリゴンが多すぎると、3D操作速度が大幅に低下する可能性があります。ポリゴン数があまりにも多いと、BIMxでプロジェクトを読み込めないこともあります。

ポリゴン数が多いことやファイルサイズが大きいことは、必ずしも建物が大きいことを意味するものではないことに注意してください。多くのプロジェクトでは、3Dポリゴンはかなりの割合でライブラリ部品から生成されます。詳細な家具オブジェクトは、建物全体の構造モデルよりもポリゴン数が多くなることがよくあります。
そのため、3Dポリゴン数を許容できる範囲内に収めることが重要です。次のセクションでは、ARCHICADプロジェクト内のポリゴン数を確認、制御する方法に関する役立つヒントを示します。

 

ARCHICADでのモデルサイズの確認:ポリゴンカウントアドオン

ポリゴンカウントはARCHICADの「便利な」アドオンで、ARCHICADモデル内の3Dポリゴン数を分析、制御するのに役立ちます。このツールを使用する利点は、ARCHICADモデルをBIMxにエクスポートする前に、そのサイズを制御できることです。

ポリゴンカウントは、要素タイプ(壁、スラブ、ドア、窓、オブジェクトなど)別にグループ化した3Dポリゴンの数と、モデルサイズ全体に対するパーセントを表示します。

また、このアドオンでプロジェクト内の特定のライブラリ部品の3D精度を変更することもできます。ARCHICADライブラリ内のほとんどのオブジェクトには「3D精度」パラメータが含まれ、オプション「詳細」、「簡略」、「オフ」が示されます。[ポリゴンカウント]ダイアログボックスの[デフォルト精度]機能により、プロジェクト内の全ての3Dオブジェクトを対象に、この値を切り替えることができます。

ポリゴンカウントアドオンのダウンロード

ポリゴンカウントアドオンは、[ARCHICADヘルプ]メニューの[ARCHICADダウンロード]リンクをクリックしてダウンロードできます。インストールが正常に完了すると、[ウィンドウ]→[パレット]→[ポリゴンカウント]からポリゴンカウントを有効にすることができます。このアドオンの使用に関する詳細は、「PolyCount ReadMe」ファイルを参照してください。

BIMx PRO用にサイズの大きいHyper-Modelファイルを最適化
Hyper-modelのサイズがiPad/iPhoneの容量を超える場合、BIMx PROはファイルのロード中にクラッシュすることがあります。Hyper-modelを最適化するために以下を試してください。

  1. ARCHICADでモデルを複数の3Dビューに分割し(建物の左/右ウイングなど)、分割したビューをhyper-modelファイルに発行します。この方法により、使用可能なメモリをフルに活用でき、アプリでは分割した各ビュー間を簡単に行き来できます。
  2. グローバルイルミネーションの計算をスキップします。これは、GIデータによってファイルサイズがかなり大きくなる可能性があるためです。
  3. あまり重要ではないモデル要素を非表示にして、モデルポリゴンの数を削減します。

BIMxデスクトップアプリケーションでのモデルサイズの確認

3Dモデルサイズは、BIMxデスクトップアプリケーション内で確認できます。

Poly Count

  1. BIMxデスクトップアプリケーションで、Escをクリックしてコマンドにアクセスします。
  2. [情報]コマンドをクリックし、モデルがデスクトップアプリケーションとモバイルデバイスで使用しているメモリ量を確認します。

デスクトップアプリケーションの[情報]ページには以下の情報が表示されます。
デスクトップアプリケーションのメモリデータ

三角形の数:この値は、ARCHICADのポリゴンカウントアドオンで表示されるポリゴン数の約2~3倍になることに注意してください。使用されるジオメトリ計算アルゴリズムが異なるためです。

RAM使用量VRAM使用量がバイト単位で示されます。

モバイルデバイスでのVRAM使用量の構成要素

このデータは、サポートされるiOSモバイルデバイスでモデルを表示するために必要なVRAMメモリを指します。

  • ジオメトリ:三角形の数を基準とした数です。
  • テクスチャ:BIMxアプリはテクスチャをある程度自動的に最適化しますが、BIMxモデルが大きすぎてデバイスで実行できない場合、そのサイズと複雑さを低減することができます。

グローバルイルミネーションを使用してBIMxモデルを保存する場合、以下の2つのテクスチャ構成要素を処理するために、追加のVRAMメモリが必要になります。

  • 平面のGI:平面に適用されるイルミネーションテクスチャ
  • 曲面のGI:曲面に適用されるイルミネーションテクスチャ

曲面は平面よりもメモリ消費が少ないことがわかります。

3Dモデルサイズの削減方法

以下のヒントは、ARCHICADモデルサイズを許容範囲内に収めるのに役立ちます。

  • レイヤーセットを作成する
    • レイヤーセットにより、現在の3Dウィンドウで実際に必要なバーチャルビルディングモデルの要素のみを表示できます。例えば、レンダリングや立面図など、外観専用のレイヤーセットを作成し、建物の内部に配置する要素は全てオフにして非表示にすることができます。内部のレンダリングや断面図用には別のレイヤーセットを定義し、外部の木や乗用車、またはその他の環境要素は非表示にすることができます。

    矩形選択を使用する

    • 建物の一部のみ(部屋やフロアなど)を表示するには、矩形選択を使用して表示する部分を選択します。この簡単な手法でモデルサイズを大幅に削減でき、BIMxでのナビゲーション速度を上げることができます。

    不要なオブジェクトの3Dをオフにする

    • 平面図に配置する各ライブラリ部品(2Dシンボルを除く) は、平面図のみに表示する場合でも、3Dビューでの表示を含みます。さらに、これらの要素の多くは、3Dで多数のポリゴンを生成します。このようなポリゴンの生成を回避するには、オブジェクトのパラメータリストで対応するパラメータを使用して、これらのオブジェクトの3Dビューをオフにします。
    • 3Doff.png
    • ARCHICADライブラリ内の全てのライブラリ部品は、この機能に使用するパラメータ名が同じであるため、平面図で複数のオブジェクトを選択し、一括してその3Dをオフにすることができます。また、このためにポリゴンカウントアドオンの「デフォルト精度」機能を使用することもできます。「ARCHICADでのモデルサイズの確認:ポリゴンカウントアドオン」を参照してください。

    オブジェクトの精度を制御する

    • ARCHICADライブラリ内のほとんどのライブラリ部品は、3D精度(詳細、簡略、オフ)と曲線解像度のパラメータを持ちます。これらのパラメータを必要な3Dビューに適した最小限の値に設定します。曲線形状内の辺の数が多すぎると、
    • モデル内の3Dポリゴンの数が大幅に増加します。3D精度を「詳細」にしたまま曲線解像度を下げると、より少ないポリゴン数でオブジェクトの表示を改善できる場合があります。
    • level.png

    メモリを大量に消費するライブラリ部品オプションの使用を回避する

    • ARCHICADオブジェクトのオプション機能によっては、相当な数の3Dポリゴンを生成するのに、最終的なBIMxモデルには顕著な違いがない場合があります。以下のパラメータは注意して使用してください。
      • ドアや窓のハンドル
      • バスタブや洗面所の蛇口
      • 階段の曲線の手摺り(StairMaker階段を含む)
      • 植物オブジェクトのあまりにも多くの葉

      handle.png

以下の表に、いくつかのARCHICADライブラリ部品のポリゴン数を示します。1つの「ポケットに手を入れた男性」オブジェクトで、1066個の壁と同じ数のポリゴンが生成されることに注目してください。ポリゴン削減の重要性を明確に示すもう1つの例として、オフィスチェア(オフィスチェア01)が挙げられます。この3Dビューのポリゴン数はデフォルトで3759で、626個の壁に相当します。このようなオフィスチェアはオフィスプロジェクトには何度も配置される可能性があり、最適化するとBIMxナビゲーションを改善できます。

  • 要素タイプ 3Dポリゴン数
    開口部のない壁 6
    単純開口のある壁 10
    D1 ドア 80
    D1 取手付きのドア(スタイル1) 1544
    洗面台01(詳細) 1031
    洗面台01(簡略) 685
    蛇口付き洗面台(詳細) 1335
    蛇口付き洗面台(簡略) 869
    ポケットに手を入れた男性 6396
    人物ビットマップ 1
    オフィスチェア01(簡略) 2594
    オフィスチェア01(詳細解像度 = 8) 3759
    オフィスチェア01(詳細解像度 = 16) 7433
    自動車01 5583
    乗用車ビットマップ 1
    直線のStairMaker階段/「手摺り子付き」の手摺り 2093
    直線のStairMaker階段/「シンプルサーフェス」の手摺り 789
  • 複雑なモデリング要素に注意を払う
    • カーテンウォールや断面形状などの高度なモデリングツールまたはソリッド編集でも、多数の3Dポリゴンが生成される場合があります。BIMxで表示するモデルを最適化する場合は、一般的に多数の3Dポリゴンが生成される以下の状況を省略するか制限することを考慮してください。
      • 詳細なまたは曲線のカーテンウォールフレームの断面形状
      • 詳細なカーテンウォール付属品(シェーダーなど)
      • 多くの線分を含む断面形状
      • 曲線要素間のソリッド編集
      • モデル要素間の多数のソリッド編集

    ポリゴンカウントを使用してモデルを定期的にチェックする

    • [ポリゴンカウント]ダイアログのデータは、(通常のライブラリ部品に加えて)以下のようなモデルでポリゴン数の多い要素を識別するのに役立つ場合があります。
      • 複雑なメッシュモデル(外構モデルなど)
      • 外部アプリケーション(3D Studio、SketchUP、3D DWG、Cinema 4Dなど)からインポートされた要素。これらは通常、非常に詳細なモデルで、建築の視覚化ではなく、高度なレンダリングでの使用を意図しています。

    3Dウィンドウのコンテンツをフィルタする

    • 矩形選択ツールやレイヤーセットの他に、[表示]→[3D表示設定]→[3D要素フィルタ]を使用して3D表示をフィルタし、3Dで表示するフロアを定義できます。filter.png

    テクスチャマッピングを使用する

    • 物理的なモデルの代わりに、テクスチャマッピングとアルファチャンネルの透明画像を使用します。このソリューションは、膨大な数の木、乗用車、フェンス、およびその他の複雑なオブジェクトがモデルに必要な場合に非常に役立ちます。

 

テクスチャの最適化

テクスチャを慎重に選択し、適切に適用すると、BIMxモデルの品質が向上し、3Dでのナビゲーションエクスペリエンスが改善されます。ただし、テクスチャ画像の数とサイズには特別な注意を払う必要があります。画像ファイルが大きすぎると、BIMxプロジェクトのメモリ使用量は大幅に増加してナビゲーション速度が低下しますが、モデルの品質には顕著な改善が見られない場合があります。テクスチャライブラリのサイズを最適な範囲に収めるために、次のガイドラインを参考にしてください。

  • 同様の仕上げには同じテクスチャ画像を使用します。
  • モデル内でのサイズや位置の関係で目立たない要素にテクスチャを適用する必要はありません。
  • テクスチャ画像のサイズと品質は、最低限まで下げる必要があります。ARCHICAD 3Dウィンドウで、さまざまな画像サイズを使用した結果を比較できます。
  • 非圧縮画像ファイル形式(BMPなど)よりも圧縮画像ファイル形式(JPGなど)を優先します。
  • 写真編集アプリケーションを使用して、テクスチャ画像のサイズを削減し、圧縮レベルを上げます。

 

モバイルデバイスでバックグラウンドアプリケーションを停止

Appleモバイルデバイスには、組み込みのメモリ最適化アルゴリズムが搭載されています。起動していて現在使用されていないアプリケーションはバックグラウンドで実行され、メモリ消費は最小限に抑えられます。サイズの大きいBIMxモデルを開く際には、場合によっては、これらのアプリケーションを全て閉じてBIMxに最大量のメモリを割り当てる必要があります。

  • iPad/iPhoneのホームボタンをすばやく2回押します。
  • 起動中のアプリが1列に表示されます。
  • いずれかのアイコンを長押しして、アイコン上に赤い「削除」フラグが表示されるまで待ちます。
  • 各アイコンをクリックして、1つずつ終了させます(BIMxを含む)。
  • 再びBIMxアプリを起動し、必要なモデルを読み込みます。

 

モデル品質の最適化

ARCHICADモデルの精度と正確性は、BIMxで操作する閲覧者のエクスペリエンスに大きく影響します。顧客に最適なBIMxモデルを提供するために、以下の推奨事項を確認してください。

モデルをBIMxにエクスポートする前:

ARCHICAD 3Dウィンドウで(OpenGLエンジンを使用して) モデルのエクステリアとインテリアを十分にチェックします。以下に示すモデリングの間違いがないか確認します。

  • テクスチャの欠落または不適切な適用
  • テクスチャやマテリアルが暗すぎる、または明るすぎる
  • サーフェスの重なり(同じ平面に異なる要素のサーフェスが重なる)これはナビゲーション中のちらつきの原因となります。
  • アクセスできない部屋(ドアがない、他の要素で入口が塞がれている)
  • 他の要素で隠された要素など、モデル内の不要な要素(天井の裏のダクトなど)
  • 要素の接続が不適切(壁、梁、スラブなど)

モデルをBIMxにエクスポートする際:グローバルイルミネーション計算を初期化する前に、再度モデルを確認してください。

  • 吸引をオンにして建物全体を見て回り、上記の間違いがないか確認します。
  • ARCHICADに戻り、必要に応じて問題を修正します。

これらの処理を行った後、プロジェクトを.bimx形式で保存し、それをBIMxアプリで開きます。プロジェクトがモバイルデバイスのメモリに収まらない場合は、ARCHICADモデルに戻り、必要に応じてサイズを削減します。